2005年12月05日

田中敦子氏の訃報

具体の作家田中敦子氏が3日に亡くなった、という話を聞いた。73歳だった。東野氏のことといい、ここのところ戦後活躍した美術界の人々が立て続けに亡くなっている。

田中敦子は複数の円を基調として描いた絵画が有名だが、それは「電気服」という電球を何個も洋服に取り付けたパフォーマンスにあるように、電球と配線を象徴させている。最近僕が見た彼女の作品は、年明け頃開かれていた東京国立近代美術館での「痕跡」展でのことで、作品名は《Round on Sand》(1968年)だった。浜辺でピッケルを持った彼女が、延々砂地に円を描いているビデオ作品。巨大な円は次第に波にさらわれ消えていく。それにもかかわらず取り付かれたように描き続ける様が、なんとも異様で、はかなくもあった。

高齢化故に具体の作家もだんだん少なくなってきている。一方彼らの作品も、その多くを所蔵する芦屋市美術館の閉館問題で散逸の危機にさらされている。最近「もの派」を再考しようという企画が各地で起こっていたが、それより一世代前の「具体」というムーヴメントも、もっと再考されてしかるべきだと思う。

ご冥福をお祈りいたします。

《Round on Sand》1968


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2005年11月20日

東野芳明氏逝く

今日の朝刊の社会面を見ると、「前衛美術を紹介 東野芳明さん死去」という記事を発見。

ああ、とうとう亡くなられたのですか。既に死んでいると思っている方も何人かいますけど、十数年前から彼は植物状態だと聞いていました。「パウル・クレエ試論」で美術出版社の評論賞をとってデビュー、美術評論の「御三家」の一人と言われた人でした。ちなみに多摩美の芸術学科の創設者でもある。80年代にはマルセル・デュシャンの「大ガラス」を復元するプロジェクトを立てたり、ヴェネチア・ビエンナーレのコミッショナーになったりと、色々活動していました。なにか長年引き伸ばされていた一つの時代が終わった感があるのは、僕だけだろうか。

なんか美術批評家って少なくなったなぁ。それ以前に美術批評自体すでに空中分解している感じ。なんとかせねばね。
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2005年11月09日

パリは燃えているか?

収まる気配もなく、パリはまだ燃えている。

フランス政府は8日、非常事態法に基づき県知事に夜間外出禁止の発令権限を与える政令を出した。この政令は1955年にアルジェリア戦争時に制定された法律で、61年にクーデターを未然に防ぐため適用されて以来実に44年ぶりとなる。68年のパリ5月革命のときでさえ発令されなかったこの政令が、今になって蘇った。

なんだかフランスの抱えていた矛盾が一気に噴出したみたいだ。移民問題、報道倫理、ナショナリズム、失業問題、経済不況…。今はまだ聞かないが、国民戦線のジャン=マリ・ルペンはまだしゃしゃり出てこないんだろうか。「犯人は分かっている!」お決まりの文句が跳んできそうだ。

france1107.jpg
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posted by jaro at 07:52| Comment(0) | TrackBack(3) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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