
対談形式で進む本書はこの手の本にしては比較的読みやすいが、忌憚なく話す両氏の会話は痛快で、それゆえ麻薬にも近い刺激が逆に警戒心を育むことにもなった。岡崎氏の発言は無反省に受け入れてしまいそうになる明快さがある。松浦氏の発言が少ないのは、そうした岡崎氏のカリスマ性に思わず聞き手に回ってしまう所作ゆえだろう。だから本書はほぼ岡崎氏の著作と言ってもいいかもしれない。相変わらずのカント主義的見解が10年以上前の対談にも現れているものの、問題提起としては鋭い点が多かった。本書が人口に膾炙する理由はそこにあるのか。ともあれ論点のいくつかを挙げて、あれこれ考えてみたい。
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