2006年02月21日

物質の見かた―そして図式空間

 写真の見方が人間の見方であるというのは一つの申しあわせのようなものである。レンズの角度は何度が最も妥当であるかはまったく疑問の中にあるのである。

 しかし、世の写真製造業者はこのレンズという非人間的世界観察者を人間が見るものとして、人類の中に提出しているのである。そして、人間は逆に、レンズの見方にしたがって世界をそう思い込もうとしているのである。この見方は実に、人間が付託したところの物質の見かたである。自己がその観点を意識する個性を奔騰させる自由人間の築きあげる体系の空間ではない。

 世界に単に対応関係を持っているところの徹底した「図式空間」なのである。人間集団の構成する物質の見かたなのである。

 この徹底した物質的視覚としての「図式空間」から映画は出発するのである。
中井正一『美学入門』
posted by jaro at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | Dog-ear | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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