隣接する類義語、対義語。曖昧にされたそれらの語を並べること。そうすることで、何か見えてくるものがあるかもしれない。この記事では、上記の語に関わる言葉を見つけ次第、この場に追加していこうと思う。
【批】ひ
≪広辞苑≫
1.くらべ、品定めをすること。「批評・批判・批正」
2.権力者が認定すること。「批准」
≪漢字源≫
1.{動}うつ。ふれる。(ふる)うちあたる。ふれあう。「批撃」「批逆鱗=逆鱗に批る」
2.<ヒす>{動}つきあわせて、よしあしを決める。「批評」
3.{動・名}君主や上司が、臣下から提出された文書を見てよしあしを決める。また、その判定を示した文句。「乞批=批を乞ふ」「批准」
4.{単位}公用文書や、まとまった運送荷物を数えることば。「一批(文書一通、また、品物ひと荷)」
<解字>会意兼形声。「手+(音符)比(並べる、つき合せる)」
【評】ひょう
≪広辞苑≫
善悪・可否・価値などを判断し論定すること。また、その言葉や文章。「―を書く」「批評・評論・評判・不評」
≪漢字源≫
1.<ヒョウす>(ヒャウす){動}あげつらう(あげつらふ)。いい分を平等にぶつけあう。議論をぶつけて物のよしあしを公平にさばく。訓は「あげ(挙)+つらふ(接尾語)」から。(類)平。「評議」「批評」
2.{名}議論して裁いた結果。品さだめ。「評判」「講評」「悪評」
<解字>会意兼形声。平<ヘイ>は萍<ヘイ>の源字で、浮き草の上端が一印の水面につかえてたいらにそろったさま。評は「言+(音符)平」で、ことばを平等にそろえてぶつけあうこと。
【批評】
≪広辞苑≫
物事の善悪・美醜・是非などについて評価し論ずること。「作品を――する」「文芸――」
≪テリー・イーグルトン≫
「啓蒙主義的な意味でいう「批評」criticismは、外部の、おそらくは「超越的な」視点から、状況のどこに歪みがあるかを解き明かすことで成立する」
≪岩波哲学・思想辞典≫
人間の制作した具体的な対象もしくは人間が関わりをもつ事象の特性を分析し、評価する行為の総称。鑑賞、評論、批判等の名で呼ばれる活動もこのうちに含めることができる。その対象に応じて文学批評、美術批評、文化批評、メディア批評、メタ批評等々に分類することが可能である。〔項目担当者:富山太佳夫〕
≪ドミニク・ラカプラ『歴史と批評』≫
「批評は、文学そのものの抱える諸問題と可能性――想像する芸術家の戦慄と無冠の達人の苦悩の双方をもたらす転移的関係――を、批評自身のレベルにおいて反復する」
【評論】
≪広辞苑≫
物事の価値・善悪・優劣などを批評し論ずること。また、その文章。「時事――」
【批判】
≪広辞苑≫
(criticismイギリス・Kritikドイツ)
1.批評し判定すること。ひばん。
2.人物・行為・判断・学説・作品などの価値・能力・正当性・妥当性などを評価すること。否定的内容のものをいう場合が多い。哲学では、特に認識能力の吟味を意味することがある。「強い―を浴びる」
≪テリー・イーグルトン≫
「「批判」critiqueは、内側から主体の経験にもぐりこみ、主体の現在の状況をこえたところにある「有意義な」経験を引き出そうとする言説形式である」
≪岩波哲学・思想辞典≫
この概念の源にさかのぼれば古代ギリシア語のクリーネイン(分離する、告訴する、裁くといった意味を持つ)に行き着くが、現代では学術語としては主として哲学で使われている。同一の原語に対して、批評という訳語が与えられることもあり、これは哲学上の概念としての批判と文学理論上の概念としての批評とは元来は未分のものであった事実に基づいている。哲学においてこの概念が大きな意義を有するようになったのは、カントの『純粋理性批判』(初版1781)以後のことであり、ここで哲学的意味がはっきりと文学理論でいう批評と分離し、現代の<批判的理論>にいたる哲学の内部での用法が確立した。ただし、カントが哲学にこの概念を取り入れるに当たっては、当時の批評家の用法からの影響もあったことが指摘されている。〔項目担当者:福谷茂〕
【批難】
≪広辞苑≫
欠点・過失などを責めとがめること。「当局を―する」「―を浴びる」